- Texstyle / Dyeing
- 2024年2月14日
Sappanwood Dyeing赤い染め色をもとめて①『すおう(蘇枋)チップ染め』
いくつかの植物染色にトライしていますが、身近で赤系に染まる植物がなかなか見つけられず、まずは市販の「すおう・チップ」で染体験してみることにしました。
『スオウ(蘇枋)』の木がどんな植物なのか調べてみたところ「マメ科ジャケツイバラ亜属」だそうです。
そうなのですよ。私が南インドや沖縄旅行で見かけて、その魅力にハマっている熱帯植物の「ホウオウボク(鳳凰木)」や「オオゴチョウ(黄胡蝶)」などと同じ羽状複葉の熱帯マメ科の小高木の心材とのこと。日本の庭木で見られる「ハナズオウ(花蘇芳)」とは全く違う植物のようです。表す漢字も「蘇枋」「蘇芳」「紫荊」などと数多く見られ大陸からの流入がわかります。日本でも古くから使われている植物染料なので、国産だと思っていましたが違ったようです
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材料・薬品
- すおうチップ:50g :市販品
染材の100%で薄い染まりになるのではと心配 - ミョウバン:漬物用で家にある物を使用
- 浸染用錫液、浸染用チタン液:市販媒染剤
- 鉄媒染液、銅媒染液:市販媒染剤
- 抽出助剤:米酢
染材(精錬した絹糸)
- 緒糸(キビソ糸):各10g
道具
- ホーロー鍋
- すおうチップ:50g :市販品
すおうチップから染液を抽出
市販品の染料材なので失敗はないと思いますが、用意したチップが染材と同量の100%。
- 【すおうチップ:50g】【ぬるま湯:2000cc】【米酢:20cc】で、80℃~90℃まで温度を上げて30分沸騰させずに煮出す。熱いうちに漉して冷ます。1番液
- 同じ条件で2番液抽出。1番液より色が出ていなくて薄くて少し心配
染液の抽出方法は簡単に、ここで一旦終了
今回は1番液、2番液を合わせて【染液:4000cc】の液量としましたが、1500ccずつ【染液:3000cc】で十分だった気がします。
- 染材をテープを色分けして各媒染剤で《先媒染》
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先媒染(ミョウバン/スズ/チタン)※タマネギと同じ
- 【水:1000cc】を加熱
- 80℃程度になったら【各媒染剤:3cc】を入れ撹拌
- 染材(絹糸)を入れる
- 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
- 火から降ろして冷却し絞る
- お湯でよく洗って脱水
すおうチップ染めは赤色系ですが媒染剤による色の違いを確認するため《ミヨウバン先媒染》《スズ先媒染》《チタン先媒染》《銅後媒染》《鉄後媒染》の5つの媒染剤のために染液は同浴で一緒に染めます。《後媒染》グループは30分ほどお湯に浸してから絞っておきます。
- 《先媒染》田中直染料店「草木染薬品」浸染用錫液、浸染用チタン液
- 《後媒染》誠和「草木染薬品」鉄媒染液、銅媒染液 ※すでに閉店されてます
- チップ材はキッチンペーパー(不織布)で漉し1番・2番液を合わせる。抽出液は4000ccもあり今回は多い感じがするので少し火にかけて濃縮
- 抽出液に染材を入れる。80~90℃で30分浸染。媒染剤による色変化を見るために、テープを色分けして5本を一緒に染める。先媒染の染材はあっという間に赤を発色。後媒染用のこの時点での無媒染の染材はあまり発色せず心配
染液から取り出して水でよく洗って脱水。すおうチップ抽出液での染め作業はここで一旦終了。
《先媒染》グループはここで完了。
- 無媒染で染めた染材を各媒染剤で《後媒染》(参考:銅媒染)。無媒染での状態は濃いベージュのようだったが媒染液に入れた途端、赤くなった。しっかり水洗いした染材だったが媒染液まで色が染み出ている感じ
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後媒染(銅/鉄)
- 【水:1000cc】を加熱
- 80℃程度になったら【各媒染剤:3cc】を入れ撹拌
- 染材(絹糸)を入れる
- 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
- 火から降ろして冷却し絞る
- お湯でよく洗って脱水
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赤い染め色の『すおう(蘇枋)チップ染め』
染材と同量のすおうチップで思っていた以上にしっかりとした赤に染まりました。絹は発色が良く染まりやすいことを実感
- 《ミヨウバン先媒染》しっかりとした明るい赤
- 《スズ先媒染》ミョウバンより黒味が少なく明るい赤
- 《チタン先媒染》エンジと云える黒味のある赤
- 《銅後媒染》チタンを明るく白っぽくした色。小豆色(あずきいろ)
- 《鉄後媒染》蘇芳香(すおうこう)や梅鼠(うめねず)云える赤味のある灰色
Color Chartカラーチャート
赤い染め色の『すおう(蘇枋)チップ染め』
市販の「すおうチップ」は問題ない赤の染まりとなりました。
「日本の色」を表現する名前の中には『蘇芳(すおう)』をはじめ『蘇芳香(すおうこう)』『浅蘇芳(あさすおう)』など【すおう】とつくものが数多くが存在しています。ただ、その色名は使う人の主観なのでWeb上の『光の三原色』の「加法混色」の表示方法である「十六進法(ヘキサデシマル: hexadecimal)」には見る側のモニタによってもかなりの揺れ幅があり決定的ではありません。ここのカラーチャートも私の目視による色をイメージしやすいように暫定的なカラーブロックとして表現していると思ってください。
市販媒染液
- 《ミョウバン先媒染》
- 《スズ先媒染》
- 《チタン先媒染》
- 《銅後媒染》
- 《鉄後媒染》
※このカラーチャートは私chackeeが染材の仕上がりを目視で数値化し、サイト表示したもので、あくまでイメージです。