- Japan Gunma Texstyle / 日本
- 2022年6月22日
Kiryu & Textile Museum "YUKARI" 桐生と織物参考館「紫(ゆかり)」
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上毛かるた【き】の句は『桐生は日本の機どころ』です。
桐生市は『鶴舞う形の群馬県』でいうと、左側の首の付け根あたりでしょうか?
私の住んでいる群馬県西部にある富岡市と、群馬県東部にある桐生市は東京からの主要交通網が違うせいか、同じ県内でも交流が少ない地域のような気がします。学生時代に染織を学んでいたので何度か行った事はあるのですが、訪問しようと思ってもなかなか行かなかった場所です。桐生は「西の西陣、東の桐生」といわれるほどの東日本を代表する織物の産地です。桐生には繊維に関するさまざまな技術を持つ事業所が集積することから「織都(しょくと)」という雅称もあるそうです。
織物参考館「紫(ゆかり)」
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織物参考館「紫(ゆかり)」は森秀織物工場だった場所の織物に関する施設です。
森秀織物工場は、創業明治10年。桐生の高級織物であるお召し専門の機屋であり、昭和30年ころ最盛期を迎え、昭和50年代まで桐生織の工場として稼働していたノコギリ屋根の建物を利用して「織物参考館“紫”」を開設したそうです。
平成18年(2006)に国の指定登録有形文化財になり、平成27年(2015)には日本遺産「かかあ天下 -ぐんまの絹物語-」指定されたようです。
現在は手織り体験や染織体験ができるそうです
- 日本遺産「かかあ天下 -ぐんまの絹物語-」の碑
- 「ノコギリ屋根」北面の採光窓。室内から
●ノコギリ屋根の建築
「ノコギリ屋根」は外国製の織機を導入するに当たって、天井の高い工場空間とおだやかな採光のために桐生市など繊維産業の工場で多く採用されました。屋根がノコギリの刃のようにギザギザと短辺長辺が繰り返し、短辺に当る部分は北向きで大きな採光の窓になっています。ほとんどの採光面が北向きなのは工場内への直射日光の差し込みを抑え、日中の光量の変化が少ない安定した一定の光源が得られるためといわれています。
以前、私の両親は家業で布を扱う店舗を営んでいました。布をウィンドウに展示するとその後のわずかな日焼けが気になるし、太陽光と蛍光灯で色の見え方がすごく違うということにかなり気を使っていました。特に昔の天然染料である藍などは日光堅牢度が低いことによる退色が激しいので、このような採光方法の工夫が必要だったのがよくわかります。
●染色体験
- 染織体験施設の染料棚
- タデ藍の花壇
- 藍瓶
- 藍の葉を発酵、熟成させた「すくも」
●織機の歴史
現在、館内には織物の歴史や文化に関係した貴重な資料が1,200点以上も展示されています。
私は以前、染織をやっていたので古い手織り織機にはとても興味がありました。私の持っている手織り機は杼(ひ)を手で送りますが、ここに展示されていたり手織り体験をする機はほぼ飛び杼型となって機械化第一歩という感じがしました。
- おもり機(BC560)
- 居座り機
- 八丁撚糸機(はっちょうねんしき)細い糸を撚りをかけながら何本も合わせ、1本にする撚糸機
- 高機(絹機)絹は切れやすいので、切れたのが一目でわかり、平でつなぎやすいように千巻(ちまき)のカエシから綜絖(そうこう)までを長くとっている
- ドビー機つき半高機
- 空引機
- ジャガード手織り機
- ベトナム チャンバ王国の古代織機