- Japan Okinawa Texstyle / 日本
- 2022年10月27日
Ryukyu Kasuri / Haebaru Hanaori日本の絣の源流『琉球絣・南風原花織』
沖縄では木綿をはじめ芭蕉布や上布、紬、それに花織など、どんな織物にも絣柄が織り込まれています。その絣模様をすべて琉球絣といいますが、狭義では沖縄本島南部の南風原町(はえばるちょう)を中心に生産される絣織物のことをいうようです。特にかつては泥藍(琉球藍)を用いて染めたもののみを呼んでいましたが、現在はほとんどが化学染料などになってきているようです。また、昭和10年頃から絹絣が導入され、今ではそれが大半を占めているそうです。
「かすりの道」ツアー
南風原町観光協会で実施している「かすりの道」ツアーで街中を散策。そして数件の工房を見学させていただきました。
- 街中の路地は絣を思わせる幾何学模様が施されてかなりキレイに整備されていた。
- 首里城などの復元に使用した赤瓦もデザインの一部として使用
- ところどころブロック塀に絣の柄が描かれていた。これもトゥイグァー(鳥柄)
- カキジュー
紀元前3~4世紀ごろインドで作られるようになった絣は東南アジアを経て、15~16世紀に琉球に伝わり飛躍的な発展をとげますが、薩摩の侵略から厳しい管理下で貢布としてだけ織られることになりました。機織りには多くの島の女性たちが従事し、明治になると本土で商品としての琉球絣が市場に出回り産地として根付いていきました。南風原では1910年代には分業体制を整えていったようです。しかし、第二次世界大戦で激戦地となってしまったため、織物工場は閉鎖へと追い込まれましたが、戦後、生き残った人々により真っ先に復興させたのだそうです。
- 絣の図案絵図。意匠設計図面
- 緯(よこ)絣の種糸つくり
- 琉球藍の甕
- 絣
南風原の工房見学で気になったのは、「分業体制」という点です。他の織物生産場所ではほとんど最初から最後までひとりでの染織作品となっていましたが、ここでは絣の図案作成から種糸づくり、絣の括りや染色、そして機織りから湯のし、最終的な検査まで、町の多くの人が関わることで高品質な織布をキープして一般流通させているようです。
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南風原花織
南風原花織は、毛糸や木綿、絹糸を原材料とした織物です。絣織物にはない重厚さと暖かみが特徴で、冬物の着物や羽織用として普及。大正時代にはすでにここで生産されており、裏面に遊び糸のない「花織」と裏面に遊びのある「浮織」に分類されています。
「琉球かすり」の体験
「かすり会館」でコースターのかすり織りを体験しました。
- 黄色の無地の経(たて)糸を張ったはた機
- 緯(よこ)糸に絣が施されている。左右の目印どおり緯糸を通したつもりがケバケバな「トゥイグァー」になってしまった
- 路地でみかけたトゥイグァー(鳥柄)
以前、絣織りを何度もやった経験がありますが、今回の体験である種難しかったのは、緯糸の左右に目印になる絣のポイントがすでに設けられていた点です。機の張り具合や左右の杼(ひ)飛ばし具合でキレイに調整できるのでしょうが、この体験ではポイントが合わず鳥の柄はケバケバ、左右の縁がガタガタになってしまいました。