- Japan Okinawa Texstyle / 日本
- 2022年10月28日
Kumejima Tsumugi自然の素材から染め織り出す『久米島紬』
久米島は沖縄本島の西に約100kmの離島です。500年以上前に中国から養蚕の技術を導入し沖縄での養蚕が始まりました。その後、越前や薩摩からの指導者の伝授により技術が磨かれ「琉球紬」として洗練されていったようです。特徴的な黒い地色の反物は『泥染め』が施されていて、そこにティカチやシャリンバイなどの「草木染め」の差し色がアクセントとして使われています。また「黄八丈」を思わせるヤマモモやクルボーなどの黄色い地に茶や黒の絣や縞でできている反物などが『久米島紬』として織られています。
黄八丈と呼ばれる八丈島の染色は「苅安(カリヤス)」と呼ばれるイネ科の植物でかなり鮮やかな発色ですが、ここのヤマモモなどの樹皮による染料はかなり落着きのある黄色となっている感じがしました。
「紬(つむぎ)」について
『紬』とは蚕糸から織り出す絹織物ですが、座繰りや機械製糸で引き出す『生糸』とは違い、蚕の繭糸を綿状『真綿』にし、手撚りをかけて紡ぎだした糸で織られた織物です。沖縄でのテキスタイルのツアーの中で、ここ久米島に来てはじめて、本土では当たり前の「紬(つむぎ)」という言葉を耳にしました。沖縄本島で見聞きした染織は「絹糸は本土や外国から製糸を入手」とか「地元の植物から繊維を取り出す」という話でしたが、ここ久米島では「養蚕」がされていて、古くは薩摩に『真綿』や『紬』が「貢納布(こうのうふ)」や「御用布(ごようふ)」という名で税として納められていたようです。当時、久米島で広く飼育されていた蚕は『シマムシグヮ』と呼ばれる黄色の繭の種類(品種は琉球多蚕繭とされる)でしたが、あまり多くの繭が取れなかったので、1900年代になって『ヤマトムシグヮ』という白い蚕に置き換わり生産も増えたそうです。
- ユイマール館でお蚕を飼育中「回転蔟(まぶし)」
- 真綿から糸を紡ぐための道具
「植物染料(草木染め)」について
『ユイマール館』内には「手紡ぎ」のほか「植物染料」についてかなり細かく説明がされていました。しかし、私が思う昔の書籍で紹介されている『久米島の染色』の記事の中に書かれている特徴的な泥染めは実際に見ることはもう難しいのを感じました。記事で「久米島は周辺をサンゴ礁に囲まれているので、海岸沿いの井戸水は石灰分が多く、灰をほとんど使わなくても染料の染め付きがいい」という文章を目にし、その可否が気になってしかたないです。それと、いつか泥染めをしているところを見てみたいです。
「染織の美」第18号 【特集:沖縄の織物】1982/京都書院
- 草木染めの色見本
「泥・シャリンバイ(車輪梅)・オキナワサルトリイバラ・ゲットウ(月桃)・ナカハラクロキ/ヤマモモ(楊梅)」 - 草木染めの色見本
「フクギ(福木)・サトウキビ・オオハマボウ・シダジイ(オキナワジイ)・ホルトノキ・ソテツ(蘇鉄)」 - 草木染めの植物
「シダジイ(オキナワジイ)・ホルトノキ・ソテツ(蘇鉄)」 - 草木染めの植物
「フクギ(福木)・サトウキビ・オオハマボウ」 - 草木染めの植物
「オキナワサルトリイバラ・ゲットウ(月桃)・ナカハラクロキ/ヤマモモ(楊梅)」 - 草木染めの植物
「泥・シャリンバイ(車輪梅)」
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久米島紬
久米島紬の反物を手に取ることができなかったので、ユイマール館で久米島紬のハギレを入手。
- 黄色い布:ヤマモモ、クルボー
- 黒い布:泥、ティカチ(アヤ)、フクギ(アヤ)
「草木染め」の体験
久米島紬事業協同組合「ユイマール館」での大判のハンカチの染色体験しました。
- モモタマナ・ヤマモモ・シャリンバイの3色の見本から色を選択(手前のモモタマナを選ぶ)
- 輪ゴムと割りばしで絞る
- モモタマナを選んで染色液に浸す
- 銅媒染用の薬品(3色のうちモモタマナだけ銅媒染)
- 銅媒染液に浸す
- 水洗い → 輪ゴム、割りばしを取る
- 仕上がりを屋外で乾燥。ほかの人たちの作品と(シャリンバイ・モモタマナ・ヤマモモ・モモタマナ)
- あらためてモモタマナで染めた作品を家で撮影。もう少し時間が欲しかった。。