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  • 2022年10月31日

Ishigakijima八重山諸島の玄関 石垣島「八重山の織物」

ここ数日、石垣島を中心にして『竹富島』や『西表島』へフェリーで訪問してきました。
石垣の方々は本州・四国・九州全体を「本土(ほんど)」、沖縄本島を「本島(ほんとう)」、そして本島以外のこの離島一体をまとめて「八重山(やえやま)」と呼ぶようです。その八重山諸島の島々の中で面積が一番大きいのは西表島(いりおもてじま)ですが、この石垣島は政治・経済・教育・交通などの中心地となっています。

  • 苧麻(ちょま)の繊維。これから糸を紡ぐ(ブー績み)

八重山の島々で織られる「八重山上布」と「八重山ミンサー」は有名ですが、今回は実際に織りあがった布の写真が用意できなかったので、苧麻(ちょま)について少しレポートしてみます。

  1. 苧麻(ちょま)
    イラクサ科のナンバンカラムシという多年生植物で、茎の外皮の内側にある繊維部分(靭皮/じんぴ)を剥がして織り糸をつくります。取り出した繊維を指の爪で細かく裂き、1本ずつつなげて糸にする「績む(うむ)」という作業で糸にします。繊維は喜如嘉の「糸芭蕉」にも似ていますが、糸のつなげ方が糸芭蕉は一般的な「機結び(はたむすび)」、苧麻は手でネジってつなげる「ブー績み」という方法で糸にするそうです。ですから「芭蕉布」の経糸には小さな節がありますが「八重山上布」には節がない反物になります。八重山では苧麻の成長が早く35~40日で1mぐらいに成長したものを刈り取るので年に5~6回の収穫ができますが、本州で唯一収穫できる福島県会津地方の昭和村では年に1回のみしか産出できません。こちらは「越後上布」などの材料として使われているようです。

「八重山上布」について

沖縄の八重山諸島で緯糸として上に書いた苧麻(ちょま/カラムシ)の手紡ぎ糸(ブー績み)を使って織られる織物のことです。
古くこの亜熱帯地域では南国の生活にふさわしい素材を求めて樹皮をたたいたり、蒸したり、なめしたり、あらゆる方法を試し見つけ出しながら衣服の基盤を作りました。やがて農具や織機の発達などにより手近で入手できる苧麻、ビロウ、ガジュマルなどの植物の繊維を試すうちに丈夫で通気性にとみ、軽くてべとつかない苧麻の繊維が多用されるようになり、その後は周辺で栽培されてこの織物として普及していったようです。
同じ苧麻を素材に近くの宮古島で織られる「宮古上布」は紺地ですが、八重山は主に白地のままで絣が施された上布が織られています。そして沖縄地方の織り物の中で唯一「刷り込み捺染(すりこみなっせん)」技法を用られる織物で、焦げ茶色の絣模様が浮かび上がる清涼感あふれる白上布は、主に夏用の着物となります。
今回のツアーの中では『石垣市伝統工芸館』内で「八重山上布」の織り見学は出来ましたが、糸づくりや絣制作の工程を見ることはできませんでした。前回の「上州テキスタイル」の『伊勢崎絣』見学の中で、経糸に「刷り込み捺染」を施している技術を見学していたので全く同じ方法だとは思いませんがリンクさせました。

織り機(はた)について

前回と今回の旅行中に何台もの織り機を見てきました。大学に入学する際、染織を専攻をする生徒は全員「着尺の高機」入手が決まりでした。学生時代は個人で一台を所有していたということです。入学時、入学金と授業料のほかにこの機代も必要だったので、今となってはそれを払ってくれた両親には感謝しかありません。3年生で「染め」と「織り」と半々に分かれるので「染め」専攻を選んだ人たちの多くは織機を手放していました。私は「織り」だったので使いつづけ、卒業時に解体して自宅に持ち帰り、そのまま物置にしまい込んで何十年も経っていました。ですが、数年前(製糸場が世界遺産になるんじゃないかと話題になり始めたころ)に姉が突然「織物をしてみたい」と言いだしました。それを組み立て、試し織りなどはしたものの、その後は実際に織るでも無く、またそのまま放置されてわが家の一か所に鎮座することになりました。ジャマといえばそうですが、組み立てたままで現在も放置され続けているのです。声がかかって出番があるのか?織機は今も静かに待っている状態です。
なぜここで機に触れる話を書いたかというと、前回の旅行で知り合ったKさんが「中古の小機(こばた)を買ったのだけど、謎の4桁番号があって。。」というお話で、その機の出処は母校のものらしいとわかりました。入学して数日間は機(はた)の部品一つ一つに名前と学生番号を書き、組み立てるという授業があり、小管のひとつひとつにまで名前と学生番号を書いたので最後は呪文のようでした。「その番号は学生番号ですよ」とお話しましたが、今も機(はた)に書かれた番号と名前を見ると当時のことが忘れられない記憶になっています。目の前の機を確認して「少し時間ができたので、何か織ってみようかなぁ」と思いはじめている今日この頃です。

それはさておき、旅行中に見た高機の筬(おさ)枠のことが気になっていました。沖縄や群馬で何か所かの織り体験・見学などで見た機のほとんどの筬枠は上を支点に吊るさがっているタイプがでした。特に群馬の桐生や伊勢崎で見た高機は筬枠がバッタンと呼ばれる構造になっていて引綱を引くことにより杼(ひ/シャトル)を筬枠の溝に沿って左右に自動で飛ばす改良された機で、杼を滑らすための部分があるため上から下がる仕様でなくてはならないようでした。私の持っている機は下を支点にしています。

  • 私の持っている機(はた)と八重山式高機の綾頭(アヤツブル)部分
  • 八重山式高機(たかはた)

    「石垣市伝統工芸館」で理事長さんのお話を聞きながら機の筬枠の状態が気になり、八重山式高機を見せていただけました。(写真はナシ)
    筬枠の支柱は下から出ていて、なおかつ緒巻(おまき)の絣(かすり)部分のみを巻き取っている綾頭(アヤツブル)という木枠があり、糸の張り具合を重石(ンブシ)で調整しています。絣の施された糸と地糸は張り具合が微妙に違っているので、一反織り終えるまでにかなりのずれが生じやすいです。絣と地糸を個別に調整できるこの機はかなり優れた織機になっていると感じました。

  • 「八重山ミンサー」について

    ミンサーとは木綿の細い帯のことを指し「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」というのが通説です。八重山諸島の竹富島発祥で、藍色の地に五つの■と四つの■で構成された絣(かすり)模様を特徴としています。その絣柄は「いつ(五)の世(よ)までも」という永遠の思いを象徴しています。そして、通い婚の時代に女性が男性に贈る物として帯の両脇のムカデの足に似た模様は「足繫くおいでください」という意が表現されていると言われています。現在石垣島では細帯だけでなく、半幅帯、テーブルセンターバックなどさまざまな物へのデザイン開発・展開がされているようです。ミンサーは本島の読谷山などでも織られています。

八重山ミンサー体験

あざみ屋 みんさー工芸館で「八重山ミンサー」柄のコースターの織り体験。すでにミンサーの絣が施された経糸が設置されているので、3本ほどを絡めた緯糸で選んで10数cm織りました。

  • 用意してある赤系の経糸機。私はこちらを選択
  • コースターの分織り進めて終了後にフリンジ部分を処理していただく
  • 青系の体験機
  • 体験修了証書とともに送っていただいた体験コースター

石垣港離島ターミナル

ユーグレナ「石垣港離島ターミナル」は離島への玄関です。6島に向けてフェリーが運行しています。「竹富島」と「西表島」への移動で2日利用しました。

  • 八重山観光のフェリー乗り場
  • 石垣港離島ターミナルで一番目をひく「具志堅」さんの像。何人も一緒に記念撮影していました
  • 竹富島への移動で乗船した「あやぱに」
  • 西表島への移動で乗船した「ちゅらさん2」

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