- Texstyle / Dyeing
- 2025年6月15日
Jamasakura Dyeing さくら色をもとめて『ヤマザクラの木片チップ染め』
材木関連の仕事をしている子供の頃からの友人に『最近は染色をしている』と話したところ『ヤマザクラ』と『キハダ』の木片を持ってきてくれました。すぐに『キハダ』の染めをやってみて「黄色い染め色をもとめて①『キハダの木片チップ染め』」のレポートを書きましたが、もう一つの堅そうな『ヤマザクラ』はしばらく放置してしまいました。
実は昨年「甘楽小幡の桜の伐採心材で『サクラ染め』」レポートで書いた通り「サクラの心材」で染めてみたものの「染め色」にはほど遠く、糸に色がついたレベルの結果で「サクラは心材での染色は無理なのでは?」と感じていました。今回いただいたチップも心材、量はかなりあるもののかなり堅そうで「同じ結果になるのでは?」と染め作業を躊躇していました。しかしこんな機会はもうないと思い、せっかくなので染めてみることにしたのです。
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材料・薬品
- ヤマザクラの木片チップ:300g
- ミョウバン:5g:漬物用で家にある物をお湯で溶いて使用
- 浸染用チタン液:市販媒染剤
- 鉄媒染液、銅媒染液:自作媒染剤
染材(精錬した絹糸)
- 緒糸(キビソ糸):各10g
道具
- ホーロー鍋
ヤマザクラ チップから染液を抽出
いただいたヤマザクラ チップ300gはあまりに堅く、このままでは染液の抽出ができそうもないので、水2000ccに氷酢酸をほんのすこし入れて煮だします。それでもまだ染まらなそうな染液の状態なので、チップを入れたまま数日間放置。数日経過してから再度加温して漉したものを抽出液としました
【ヤマザクラ チップ:300g】【ぬるま湯:2000cc】で、30分煮出す。そのまま数日間放置。放置した後の染液は赤味が出ている
数日放置したチップ入り染液を一度加温してからキッチンペーパー(不織布)で漉して抽出
染液の抽出方法は簡単に、ここで一旦終了
染材をテープを色分けして各媒染剤で《先媒染》
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先媒染(ミョウバン/チタン)※タマネギと同じ
- 【水:1000cc】を加熱
- 80℃程度になったら【各媒染剤:5cc】を入れ撹拌
- 染材(絹糸)を入れる(事前に染材をぬるま湯で濡らしておく)
- 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
- 火から降ろして冷却し絞る
- お湯でよく洗って絞る
媒染剤による色の違いを確認するため《ミョウバン先媒染》《チタン先媒染》《銅後媒染》《鉄後媒染》の4つの媒染剤のために染液は同浴で一緒に染めます。《後媒染》グループは30分ほどお湯に浸してから絞っておきます。
《先媒染》田中直染料店「草木染薬品」浸染用錫液、浸染用チタン液 ※今回はチタン液のみ
《後媒染》自作の鉄媒染液、銅媒染液 「染色用『鉄媒染液・銅媒染液』を作ってみた」
抽出液に染材を入れる。80~90℃で30分浸染。媒染剤による色変化を見るために、テープを色分けして4本を一緒に染める。染め色が濃くなることを期待してそのまま手が入る温度まで放置して冷ます-
染液から取り出して水でよく洗って脱水。
ヤマザクラ抽出液での染め作業はここで一旦終了。
《先媒染》グループはここで完了。
無媒染で染めた染材を各媒染剤で《後媒染》(参考:銅媒染)。 -
後媒染(銅/鉄)
- 【水:1000cc】を加熱
- 80℃程度になったら【各媒染剤:5cc】を入れ撹拌
- 無媒染で染めた染材(絹糸)を入れる
- 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
- 火から降ろして冷却し絞る
- お湯でよく洗って脱水
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『ヤマザクラ チップ染め』
期待した「さくら色」には染まならなかったが、かなり濃い色に染めあがりました
- 《ミョウバン先媒染》濃いベージュ
- 《チタン先媒染》赤味の強いベージュ
- 《銅後媒染》わずかに黒味をもつが《ミョウバン先媒染》とほとんど同じ色
- 《鉄後媒染》黄色みのあるグレー
Color Chartカラーチャート
さくら染め色の『ヤマザクラ チップ染め』
さくら色には染まらないと思っていましたが、それなりの発色を得られたと思います。《ミヨウバン先媒染》は濃いベージュ、《銅後媒染》もほぼ同じような染め色です。《鉄後媒染》はそれなりに深い黒味を持ち、《チタン先媒染》は期待以上に発色を確認できました。
市販媒染液
- 《ミョウバン先媒染》
- 《チタン先媒染》
自作媒染液
- 《銅後媒染》
- 《鉄後媒染》
※このカラーチャートは私chackeeが染材の仕上がりを目視で数値化し、サイト表示したもので、あくまでイメージです。
