• India Gujarat Texstyle / インド グジャラート テキスタイルの旅
  • 2024年10月

Kalamkari竹のペンで描く手書き捺染『カラムカリ』

テキスタイルの最後は「カラムカリ(Kalamkari)」の工房見学とワークショップです。
カラムカリの「カラム」はペン、「カリ」は芸術を意味し、木綿の布に竹でできたペンを使ってフリーハンドで絵を描く染色方法です

  • カラムカリ工房はスラムコミュニティの中にありました。もともとカーストが低く寺院に参拝することができなかった人々が自分の神様を布に描き、家の中にそれを祀って祈りを捧げたりすることから始まったようです。「カラムカリ」のほとんどの布はヒンドゥー教の叙事詩(ラーマーヤナ、マハーバーラタ、プラーナなど)が題材として描かれていて、教育を受けられない庶民やカーストの低い人たちが「カラムカリ」の描画を通して神々や女神、そしてその神話的性格など、ヒンドゥー教の教えを学ぶことに役立てたようです。今回も国家褒章を受賞したチャンドラカントさんの工房で、先代も受賞しているそうです。現在は工房にいた子供たちを含む家族もみなこの仕事に従事しているようです。

『カラムカリ』染めについて

  1. カラムカリ(Kalamkari) はインド南東部のアーンドラ・プラデーシュ州に起源を持つ古代の捺染芸術で、ムガル帝国統治のころにこのように名付けられたそうです。カラムカリには『ブロックプリント』と『手書き』スタイルがあります。ムガル帝国はイスラム王朝なのでヒンズー教の宗教的偶像モチーフの使用を禁じる中で、葉と花の織り交ぜた模様などブロックプリント中心の染めへと進むことでアジュラック染めなどの染色となったのでしょう。そしてヒンズー教徒の多い地域はその宗教的教えを学ぶために神々や女神の一体一体(一柱一柱と書くべきか。。)個性的な偶像を表現、崇拝をしていく中で手書きスタイルの染めが伝わりこのカラムカリになったような気がします(個人的な感想です)。
    この染めについて別意見を調べて行く中で「フリーハンドで防染剤を使い色を伏せる部分はインドネシアの蝋(ロウ)で防染して描く手書きバティック(更紗)につながる気がします」と一旦書いたのですが、少し古い染織の本を調べ直したところ「蝋染め更紗の蝋防染は熱染めに向かないので『常温で染まる藍』とインド茜ではなく『臙脂(エンジ)』が使われていことから【冷染め】であったことを物語る」との記載が。インド茜は【熱染め】が必要なので高温でも染める泥防染更紗(ダブプリント)技術を採用しているので、両者は少しだけ違う伝播か技術の改良があったようです。

  • アーメダバード近くに寺院をもつ雄鶏に乗った『バフチャラ・マタ(Bahuchara Mata)』という女神だと思う
  • ラクダに乗った女神モマイ・マタ(Momai Mata)。カッチ地域でラバリ族の崇拝する最高位の女神
  • 目の前で先生はあっという間に神様の頭部を描いてみせてくれた
  • 下書きナシ、完全にフリーハンドで描かれた女神。このクオリティはすばらしい

Process: カラムカリ(マタ・ニ・パチェディ)の手順

  • 工房で説明をうけ見せていただいたカラムカリ制作工程書。
    ここでは別名でマタ・ニ・パチェディ(MATA NI Pachhedi)とも呼ばれる。工程の訳も入れてみましたが、合っているかわからないので、英文を参考にしてください

  • ①布を1日水につけ、布からでんぷん質を取ります。
  • ②でんぷん質を取り除いた布をミロバラン液に15分~20分浸します。天然染料を染まりやすくします
  • ③水、ジャガリー(※1)、錆びた鉄を密閉した容器で20日~25日発酵させた黒い液で 竹のペンを使って人物の輪郭から描きます
  • ④その後、赤くする面を塗り、白くなる部分はそのままにします。 最初は黄緑色に見えます
  • ⑤各色を塗りつぶした後、川の流水で洗い流します
  • ⑥布をダヴァディの花(※2)とともに100度で煮沸し、色を定着させます。

※1) ジャガリー(Jaggery) は、インドで生産されるサトウキビを原料とした無精製の砂糖で、黒糖のような見た目とココナッツのような甘い香りが特徴。鉄媒染液の発酵の補助に使います
※2) ダヴァディの花(dhavadi flower) は、調べても該当する花を見つけられなかった。アジュラック工房見学で『アリザリン(西洋アカネ)の発色のためにタマリスクを投入する』という説明を受けたので、ここでもタマリスクの花のことだと思います

Workshop: カラムカリの制作

エンピツで下書きをしてから竹のペンと黒い鉄媒染液をもらって輪郭を描く。時間があったら赤い部分を作成

  • 参考にしたたぶんライオンに乗ったドゥルガー女神。魚が描きたかったので選んだが、なぜ船に乗っているのか?不明
  • 時間が短く書き始めを迷っていたら、近くにいた少年がエンピツで下絵を書いてくれた。自分で書いた方がヨカッタと。。この後使う竹ペン
  • 墨汁のような黒い鉄媒染液で縁取り。茶色っぽい部分は赤くなるとのことで塗った
  • 仕上げてから受け取った布。笑える出来。時間が短かったからしかたないけど、魚と孔雀の船には見える。女神はナシ
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