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- 2022年6月21日
Kanra & Joushu Zaguri 甘楽町で「上州座繰り」体験
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甘楽町は群馬県西部で富岡に隣接している町です。
ツアーでは観光目的での訪問ではなかったので、レポートはやめようと思っていましたが、養蚕のことを書くには良い機会だと思い取り上げることにしました。上毛かるた【ま】
【ま】の句は『繭と生糸は日本一』です。
甘楽町(かんらまち)
甘楽町は平成の大合併で、富岡市と合併協議を進めていましたが、住民投票で反対が決議されて、自立の路を選択したそうです。
しかし、富岡と交流が無いか?というとそうでもなく、JAなども「JA甘楽富岡」とひとつのエリアになっています。このあたりは、古くから米の生産が難しい中山間地帯が多く、換金作目と言える養蚕を中心とした産業が盛んでした。その中で、個々の品質にバラツキが発生するなどを抑えるため早くから地域で「協同組合」を組織化し、農家の社会的・経済的地位の向上に尽力したようです。明治11年に「上州南三社(下仁田社、甘楽社、碓氷社)」が設立され、養蚕立国の中心として日本の産業を牽引した地域となっていました。
現在はすでに、甘楽富岡地区の養蚕農家は数件だけだそうです。甘楽町にすむ私の姉の家は平成20年(2008)とかなり最近まで大きく養蚕をやっていました。しかし、補助なくして養蚕だけでの生活はムリなのと、道路拡張に伴う家屋の移転や家族の高齢化などから養蚕をやめています。周辺でももう養蚕をやっているお宅はないようです。
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甘楽町の「甘楽ふるさと館」での座繰り体験を前に、講師の先生から「蚕(カイコ)」のお話を聞きました。
「甘楽町の形」は「カイコ」の形をしているのだそうです。せっかくなので、手持ちの写真から甘楽町の形に似ているカイコを探してみました。
似ている形を探すのは難しく、どちらかというと「上蔟(じょうぞく)」前の『熟蚕(じゅくさん)』や『ずう』の状態という感じでしょうか?実際のカイコの頭の上の方にある黒い部分は眼状紋(がんじょうもん)で本当の眼ではありません。眼は左右に6個ずつついています。カイコの写真内に名称を入れてみました
- 蔟(まぶし)で繭をつくりはじめているカイコ
- カイコの名称
上州座繰り(じょうしゅうざぐり)
製糸方法は大きくわけると簡単な道具を使って人力で行う「手繰製糸」、人力で器械を動かして行う「座繰製糸(ざぐりせいし)」、水力や蒸気機関で機械を動かして行う「器械製糸」があります。富岡製糸場などは蒸気機関を使った器械製糸になるようです
昔の養蚕(ようさん)農家は、養蚕から製糸、機織りに至るまで一連の作業全てを行っていました。カイコを育てて繭にし、その繭を煮ながら糸を取り出す作業が製糸ですが、数個の歯車をかみ合わせて回転を速めて効率化した器械が『上州座繰り』とよばれたようです。
ここで体験した座繰りはナベのお湯(60℃くらい)に繭が入っていて、右手に持ったミゴ箒で数個の繭の糸先を取り出し、ナベの縁に沿いながらカタカナの「ノ」の字を書くように回転させることで糸に撚りをかけながら引き上げ、左手で座繰り器のハンドルを回転させることで糸を木枠に巻き取る方法です。常に左右違う動きをするのが難しかったです。
- 【日本遺産】「かかあ天下 -ぐんまの絹物語-」甘楽町のパンフ 座繰り講師のY先生出演
- 上州座繰り体験
この後にもう少し本格的な座繰り体験をしました。そのレポートです。
以前、本格的ではありませんが座繰りのようなことをやったので、そのレポートです。