• Uzbekistan Texstyle /ウズベキスタン
  • 2023年10月14日

Ikat鮮やかに織りあげた絣布『ハン・アトラス』

フェルガナ地方のコーカンドの都からさらに東へ約80km、車で1時間半ほど今回のウズベキスタン訪問本来の目的地へ。
都市であるフェルガナで一泊、次の日は朝からマルギランの「ハン・アトラス」の工房『Marg’ulon Ikat Silk』を訪ねます。

  • コーカンドからフェルガナへ向かう街道の両脇はクワの木で並木のようになっていました。クワの木の多くは軒を越えるほどの高木に育っていますが、葉は青々していてこの周辺では養蚕が行なわれている地域だと実感しました。
    私が子供の頃、家の周辺の農家は養蚕が盛んで、かといって田畑一面にクワの木を植えるわけではなく、家に近い畑と道路の境界に目線より高いくらいで刈り揃えられたクワの木を植える「畦桑(あぜくわ)」という景色があったのを思いだしました。そして、ブドウ棚が多くの家々の前に設置されていて、ここは寒暖差がある盆地らしい地区だと想像できました。
    太く高木となったクワの木を中庭のシンボルツリーとして配置した明るく陽が入る工房を訪問します。

「ハン・アトラス」について

ウズベキスタンやキルギス、タジキスタンなどの中央アジアで見られる経絣(たてかすり)の施された布をアトラスと言います。
特にウズベキスタン東南部のフェルガナ盆地を中心に発展した「ハン国」で作られた物を『ハン・アトラス』と呼ぶようです。絹の伝播は5世紀ころシルクロードで発展した中国ホータン(和田)から、そして11世紀から絣織布の製品がつくられ中央アジアのその歴史ははじまったようです。
私は染織について学んでいたり民族衣装に興味を持っているので、以前からこの絣布に遭遇する機会はありましたが、第一印象は「なんて派手な。。。」というものでした。しかし、少しだけ見かけたこの布を使った服をこの地で着ている人たちの装いは、全く違和感を感じるものではありませんでした。
現在の日本は個性的な色合いの洋服を着るのを避ける傾向にありますが、江戸後期から大正時代に流行った「伊勢崎」や「秩父」などの銘仙(めいせん)と呼ばれる『くず繭』や『たま繭』などを紡いだ絹糸に絣や捺染などを施し、安価で鮮やかな色彩で織られた当時の個性的な着物文化に近いのかもしれません。
ここでは素材により3つのタイプの呼び名があります

  1. アトラス (Atlas):シルクのみ
  2. アドラス (Adras):シルクと綿の混紡
  3. ブズ (Buz):綿のみ

イカット(絣)の方法

マルギランの染織地域ではデザインや糸紡ぎ、染色などの工程は男性の専門職人が分業で担当しているのだそうです。ここの工房はほとんど男性スタッフだったので、普段は織る工程をやっていない感じでした。

  • マユから糸を取る糸繰り(マユがかなり小さいので糸も細い)座繰りの様な紡ぎ方法を見たかった
  • サンプルなので扱いはちょっと。。。だけどシルク糸です
  • 整経をした糸を2m40cmの台に並べる(幅約40cmの1パターンの柄になる)
  • 青花液で絵柄を描く
  • 防染をEUROテープで。電動モーターによる回転、逆回転を足のバーで制御している
  • 染色作業途中の防染された糸の束
  • 「織り」は女性の仕事の様で訪ねた工房では本格的な織り作業をしている人はいませんでした。途中でやってきてセッティングされた機(はた)の前に座って織り姿を見せてくれました。かかっていた経糸は綿糸のブズ。

    糸綜絖でシャトル型の杼の機
    千巻から綜絖までの距離が長いので、群馬の桐生で見た高機に近いと思います。

絞り染めパフォーマンス

最初はワークショップのように私たちも「染め体験」をする予定でしたが、フランス人の団体観光の人波に飲まれて一緒に工房の人たちのパフォーマンスを見学することになりました。

  • シルクの白い布が登場。手品のように扱う
  • 白い布を手元でクシャクシャと紐でしばる(絞る)
  • 3色の染液に浸す
  • 酸化させる
  • 広げるとあっという間にステキなストールに
  • 3~4人かでパフォーマンス染めをしていたので、他の人の絞り作品
  • 他のスタッフの作品
  • 5人の作品
  • 青はインディゴ。粉末の染料をお湯で溶いて使用
  • パフォーマンスは黄色も粉末を使っていたが、草木染めとしてAkatsiya Daraxtiという花房をつかうらしい。アカシアという発音だが、日本のアカシアとは少し種類が違う感じがする
  • 工房の近くのショップ。
  • このショップで入手したブズのストール
  • ショップ横は養蚕研究所跡でたくさんの「しだれ桑」が植えてあった
  • 普通のクワ畑も残っている。うちの周辺にもこんな風景があった

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